003 [コラム] ユニバーサル・ファッション・デザインについて
近年ユニバーサル・デザイン(UD)と呼ばれるジャンルのデザインが注目されている。ユニバーサルとは普遍的な、という意味で、年齢や身体障害に関係なく誰もが使えるデザインを目標としている。車や住宅などのバリアフリー・デザインもその一環としてとらえることができるだろう。ファッションデザインの領域においても、UDの概念は少しずつながら導入されている。東京・目黒には、UDのファッションに特化した研究を行うユニバーサルファッション協会(UNIFA)が存在し、着脱しやすい水着やポロシャツの開発など、様々な活動を行っている。
一方で、UDとしてのファッションデザインには身体的な機能性以外にも必要なものがある。例えば、高齢化社会において老人が家にひきこもらずコミュニティと関係を持ち続けるためには、老人にある種の社会性が必要であり、それを可能にするインタラクションデザインとしてのファッションデザインの必要性がある。ミシェル・フーコーの「監獄の誕生」における類型化の話を想起させるような衣服の社会的機能は、しかしながら、UDにとって非常にやっかいな問題となっている。他者に見られる、他者を見る、自分を映すファッション、つまり他者と自己をむすびつけるインタラクションデザインとしての衣服の機能性とは、使いやすさとは無関係であるからだ。
お年寄り、障害者向けに特化されたデザインが「かっこわるい/ダサい」、といったスタイル・嗜好の問題もあれば、「お年寄りのレッテルのようだ/障害者のレーベルのようだ」、といった記号学的問題も生じていることは、身体的機能性だけを追求し、質的問題としての社会的審美性への研究が不十分であったことの現れではなかろうか。 それでは必要から生まれた機能性のあるデザインとどのように和解できるのか。そこにUDとしてのファッションの問題がある。「楽しさ」「美しさ」「はやり」といった曖昧な言葉に表現されるファッションデザインの本質的な問題としての社会性の研究が世界的に行われている今、使いやすい=いいデザイン、という発想ではファッションデザインの領域では不十分ならば、何を、なぜ、どうやってデザインすれば使えるデザインとなるのか。この研究を今私は行っている。
水野大二郎/ Daijiro Mizuno (クリティカルデザインラボ・ディレクター) 18歳で渡英後、シェリー・フォックスデザイン事務所にて非常勤デザインアシスタント(2000-2003)。2003年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)ファッションデザイン修士課程修了。2008年RCAにてファッションデザイン博士号取得。ファッションデザインの研究およびデザインを手がけ、現在はケータイとファッション、ユニバーサルデザインとファッションを研究中。2006年より京都造形芸術大学空間演出デザイン学科ファッションデザインコース非常勤講師及び成安造形大学ファッションデザインコース非常勤講師。










